過去記事でRE100について解説しました。今回は、EP100について解説していきます!
EP100とは?

「RE100」はなんとか社長に話を通せた!今度は「EP100」っていうのもあるみたい。更に評価アップになるならやってみたいけど、何なんだろう?
EP100は、事業のエネルギー効率を倍増させること(省エネ効率を50%改善等)を目標に掲げる企業が参加する国際企業イニシアチブです。EP100は、The Climate GroupがAlliance to Save Energy、World Green Building Councilとのパートナーシップの下で運営しています。
加盟条件:・エネルギー効率(生産性)を倍増させる
・エネルギー管理システムの実装
・エネルギースマートな建物の所有や運営をする(ネットゼロカーボンビル)
上記のうちのいずれかのコミットメントです。(いずれか1つ以上で可)
加盟企業数:グローバル125社
例;アストラゼネカ,ゴールドマンサックス,シーメンスAG等
日本企業3社
例;大和ハウス,日本電信電話(NTT),大東建託
※現在(21年4月時点) 企業数引用リンク先にはグローバルではEP100公式サイト、日本企業ではJCLP。プロ向けな話ですが、加盟検討されているなら、RE100同様にJCLPへご相談がよろしいかもです。

(↑の加盟条件って、なんかふわっとしてるな…日本企業3社しかないなら、弊社も目立てるチャンスだけどね)
環プロさん、加盟条件についてもう少し詳しく解説願いますか?

お任せください!
エネルギー効率(生産性)を倍増させる とは?
EP100でのエネルギー生産性=経済的アウトプット / 消費エネルギー量
要はエネルギー入れた分に返ってくるお金的な指標ということです。
これを基準年(2005年~現在)に対し、25年以内(2030~2046年まで)に2倍達成する。
※省エネ法のエネルギー原単位は、一単位生産量あたりのエネルギー入力なので、上記と同じ(であるが定義的には狭いもの)になります。
ターゲットとなる経済的アウトプットは割と幅広く、EP100FAQでは下記のように記載されています。
事例 | 経済的アウトプット | エネルギー入力ユニット | EPメトリック |
---|---|---|---|
組立工場(相手先ブランド供給)、自動車会社 | 製品の単位 | MJ | ユニット/ MJ |
化学、製薬、日用消費財製品会社 | 製品の量 | MJ | トン/ MJ |
セメント、鉄鋼およびその他の材料メーカー | 製品の質量 | GW | ユニット/ GW |
建物、建物を主な資産とするサービス会社 | 範囲 | MJ | 平方フィート/ MJ |
金融業界のサービス | 就業者数 | MJ | フルタイム従業員/ MJ |
複数の収益源を持つ多様な企業/コングロマリット | 収益 | MJ | $ / MJ |
エネルギー管理システムの実装 とは?
企業は、10年以内に各施設にエネルギー管理システム(EnMS)を実装することを約束し、エネルギー生産性の目標を約束します。 引用元:EP100公式サイトFAQ
10年以内に100%の施設にエネルギー管理システム(EMS)を導入+基準年に対するエネルギー生産性のコミットメント(これは必ずしも2倍でなくてもよい)ということになります。
そのエネルギー管理システムの定義は下記です。
EnMSは、承認された規格(ISO 50001など)に認定されているか、エネルギー管理規格の次の原則に準拠している必要があります。
引用元(公式HP FAQ)より翻訳:https://www.theclimategroup.org/ep100-frequently-asked-questions
・明確に定義された全社的なエネルギー管理ポリシーに対するトップレベルの管理サポート。
・エネルギー政策をサポートするエネルギー目標と目標。
・エネルギー政策を実施する権限を与えられたエネルギー管理チーム。
・省エネ目標に向けた進捗状況を測定および評価するプロセス。
・そして継続的な前年比の改善プロセス(Plan-Do-Check-Act)。
※上記については、EMSというよりはマネジメントシステム・ISO的な話に終始しており、システム(製品)の話ではないので、使用されている各メーカーのEMSが該当するのか事務局に確認したほうがよさそうです。
エネルギースマートな建物の所有や運営をする とは?
企業は、2030年までにネットゼロカーボン排出量で稼働するビルを所有、占有、開発することを約束します。ネットゼロカーボンビルは、エネルギー需要を削減し、エネルギー効率が高く、再生可能エネルギーで完全に電力を供給されます。この取り組みは、World Green Building Councilが主導し、資産およびポートフォリオレベルから、企業の排出量、エネルギー需要の削減、および再生可能エネルギーソリューションに関する洞察を提供します。 引用元:EP100公式サイト
日本でいうZEB(ネットゼロエネルギービルディング)※環境省サイト
にかなり近い考え方ですが、EP100はそれのCO2(カーボン)版になります。
つまり、「年間ベースでCO2がゼロまたは負になる建物」のことで、CO2(≒電力)を削減しつつ、再生可能電力・熱で賄い、残った分をカーボンオフセットによる負の排出量とバランスさせ上記を達成することになります。
ただ救済措置?として、ネットゼロカーボンビルを取りまとめているEP100パートナー、World Green Bulding Concilのサイトでは、「製造プロセス」は建物から分離して含まないとされているため、多少はマシになります。
管理人注記 ※ただ明らかに、相当身軽な企業でないとこれをすべての建物で2030年にやり遂げるのは厳しいです。
結局、どのパターンが一番良さそうなのか?

3つの条件については理解しました。なかなかハードルが高そうですね。やるとしたらどの経路がおすすめですか?

そうですね。
「エネルギー生産性2倍」が正攻法ですが、これまで御社は省エネに取り組んでこられているので、基準年を最近にするとハードルが上がりますので、2005年基準が一番緩くなります。ただし、それでも結構ハードかと思います。
もしくは、「エネルギー管理システムの実装」で、全拠点にEMSを入れてしまうのがまだ手っ取り早いかと思います。
拠点数によりますが、後者のコストと、全拠点で省エネを行う前者のコスト/メリットの試算をしてから提案かと思います。
「エネルギースマートな建物の所有や運営をする」については、製造業では厳しいですが、フットワークの軽い非製造業であれば検討の価値ありかと思います。
※個人的には、エネルギー管理システムの実装が一番マシと思います。いずれにしてもエネルギーの見える化は必要ですので。省エネの定石通りであり、無茶な目標を掲げなくて済む点で合理的です。

承知しました。その線でEP100事務局に相談しつつ、社長に打診してみますね!

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